今日は10月25日。

今、瀬人はベッドの上にいた。

全ての衣服を剥ぎ取られ、手首は鎖で拘束され、それは頑丈なベッドの柱に繋がれている。


抵抗する瀬人を捻じ伏せて、



拘束する。



これから何が行われるのか、聡明な瀬人にはわかっているのだろう。死に物狂いで暴れてくる瀬人を拘束するのは多少骨が折れた。

だが、限界まで脚を開かせ、膝頭を鎖で固定し、それも柱へと拘束すると、生まれてから誰にも触らせたことの無いであろうペニスが眼前に曝け出された。


それは萎えていて、なおかつ色は淡く、とても美しい。




瀬人は高校に入ってから格段に色気が増した。

もとより持っていた色気だ。

男を寄せる、魔性の色気。


伸び始めた背、長い手足。肩から腰にかけて流れるようなライン。


何故、こうも成長途中の身体とは美しいものか。


それはやはり、その身体の持ち主が瀬人だからだろう。





ベッドに瀬人を拘束したまま、煙草を吸う。

時計の針が12時を指した瞬間、男は立ちあがった。



ゆっくりと、瀬人に近寄る。


その姿に、瀬人は怯えた。



「…来るな……っ……やめて下さいっ……





父上っ!!!」





その言葉に、義父剛三郎は笑みを浮かべたのだった。




ぎしりと音を立ててベッドに乗り上げる。

剛三郎はバスローブを羽織っていたが、瀬人は今や何も纏っていない。


剛三郎はどこにも触らず、一番初めに瀬人のペニスへと、手を伸ばしたのだった。




「…ひっ…!!」


初めてそこを触られる衝撃。

それも、憎み続けた義父に触られる嫌悪感。

否、触るなどというものではない。

ゆっくりと両手で持ち上げられ、やんわりと握りこまれた。



もちろん、そんなところを触られるのは初めてで。



忙しさに自慰さえしたことのなかった瀬人は、強烈な刺激に一瞬息を詰めた。


知識はある。

だが、経験は無かった。



「…っ……離し…て…く……だ…さ…っ…」

握りこまれたソレをゆっくりと上下に擦られるだけで、信じられないほどの快感が瀬人を支配していく。

尿意とは別に、ペニスの先端から透明な雫が溢れた。

剛三郎はそれを人差し指で掬い、ぺろりと舐めた。



「フン、己で慰めたことは無いのか。瀬人」



その顔は笑っていて、そして尚且つ瀬人のことをあざ笑っていた。



「……んっ……ぅ……っ…ぁっ…」

そのうち、勢いよく上下に擦られて、若いペニスは重力に逆らって上を向いていく。

当初とは指の食い込み方が違う。

硬さが増した証拠だった。








剛三郎は一人、過去へと思いを馳せる。


今この手に、瀬人を抱きながら。





初めて瀬人と出逢ったのはいつのころだったか。



世間の体裁のためだけに訪れた施設。

子を養子にするなど、考えてはいなかった。


そこで申し込まれた勝負。

この、世界チャンピオンである私に向かって勝負を挑んできたのは、たった十歳の子供であった。


そこで断ってもよかった。


シッシとあしらって、無視することも可能であった。


だが、私は勝負を受けた。



その時から、私の育成計画は始まっていたと言っても過言ではないだろう。



目の前でチェスの駒を操る子供。

その滑らかな指。白い肌。そして何よりもその瞳に惹かれた。


何よりも美しい蒼の瞳を持っていながら、その中には屈強な意志が宿っていた。





その、




意志を砕いてしまうのもまた一興……か。








「まさかあのようなイカサマゲームを仕掛けてくるとはな」


「…ふぅっ……あ……ひぁっ……」


未熟から成熟へと変わったペニスを思うがままに凌辱した剛三郎は、いよいよ後ろへと手を伸ばしていく。

そこは既に精液まみれで、何とも言えぬ壮絶な雰囲気を醸し出している。

そして剛三郎は己の大きな指を捻じ込んだ。


「…っ…あ…っ……いた…いっ……いやああっ」

性への意識が低すぎる瀬人にとって、男同士でどうするかなどという知識は無かったのだろう。

あまりの恐怖と驚愕に、ぶんぶんと首を振り拒絶を示した。


だが、終わるはずが無い。



終わらせるつもりも



毛頭無いのだ。





「…ふぁっ……くっ…ぬい……て…くださ…っ…」




ぐちゅ、と指を動かせば瀬人は痛みと初めて味わう、腰を這ってくるような異様な感覚に身を捩じらせた。


初めは一本。

指の中でも一番長い、中指を埋めた。


「…んぅっ……んぅっ…ああっ……」


やはり、睨んだとおりだ。


この身体の、何と卑猥なことか。


人一倍、感じやすいらしい。


だが、容赦するつもりも無い。


次に、人差し指を捻じ込んだ。

そして、最後は3本に増えていく。



「…ふぁっ…」


やはり、淫猥な身体だ。もはや後ろで楽しむことを覚えたらしい。


剛三郎は一人笑みを浮かべると、一気に指を引き抜き、すかさず己のペニスを捻じ込んだ。


「…っ!?……ひぁあっ!!…んぁっ…いやああ!!」


ずん、というもの凄い衝撃。

先程まで弄られて敏感になっていた内壁を抉られて、



瀬人は吐精した。



どぴゅッ…と先端から飛び出した精液は瀬人の腹を汚し、勢いが無くなっても溢れていた。

その間も、絶え間なく揺さぶり続ける。


永遠に、揺さぶってやれ。


腸に届くまで


一つに溶けてしまうまで



何度でも




「…んぁあっ…も…いやだっ……いやッ…離せぇっ……」

その声は既に涙声で、掠れていた。








瀬人


お前に、一世一代の告白を。




この世でもっとも呪われた告白を。





「…お前は私が負けたと思っているのではあるまいな」



ふと紡がれた言葉に、瀬人は飛ばしかけた意識を取り戻す。

既に何度も射精させられ、出るものが無くなっても絶頂は訪れた。

精液を出さなくても、達することが出来るのだと初めて知った。




「…な…にをっ……言っている…っ…」




そうだ。


瀬人には分かるまい。


私が何を考えていたのか。
















私が、瀬人をこうするためだけに引き取ったということを。













「……計画どおりに育ってくれて嬉しいぞ。瀬人よ…」



そうだ、全て計画通りだ。



「お前は私に取って代わろうとしているらしいが、惜しかったな。お前が落とした部下達は私が既に解雇した。お前の味方は今現在、誰もおらん」


その剛三郎の告白に、瀬人は目を見開いた。


「…なっ!?…どういう…こと…」


「お前は、一人だということだ」


そして、全ては計画通り。



あの時、イカサマゲームを享受したのも



海馬の姓を与えたことも



弟のほうには目もくれず、お前だけを教育したことも



全ては、





この日のため






海馬瀬人が産まれたこの日のため。




17になるこの日に、犯してやろう。


前後不覚に陥るほどに、


凌辱してやろうではないか。







やはり聡明な瀬人はすべてを理解するのに大した時間を要しない。


「…嘘…だ……っ…嘘……。…いやだっ…離せっ!!離せぇぇ!!!!」


驚愕に目を見開き、瀬人は力の限り暴れた。


だが、剛三郎の前ではそれも無力に等しい。




「…そう言うことも、想定済みだ。瀬人よ」




そして、剛三郎は笑みを浮かべるのだ。






全ては自分の思い通りにことが運んでいると思い込んでいた瀬人。

だがその実、剛三郎の手のひらで踊らされていただけだったのだ。




それを知った瀬人は狂い、暴れる。




だが、それをねじ伏せるのも、また快楽。





このような性癖を持って産まれたことを私は嬉しく思う。




この世で一番美しい、絶望に出会えたのだから。








海馬瀬人へ




最大なる祝辞を





この者の生誕に、




心からの祝福を。




END.






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