ツナ総受け

□ロミジュリ展開希望者
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「ユニちゃん」
白髪の青年。
左手でマシュマロを弄ぶ動作は子供らしい。

が、それとは裏腹目線は鋭く、肉食獣が草食動物を狩る寸前のそれ。
そんな彼が話しかけたのは小柄な少女。

「このコがボンゴレのボス、ツナヨシ君だよ」
差し出した写真には可愛らしい風貌の幼げな少年が写っている。

ユニと呼ばれた少女は写真を手に取る。
そして目を見開き、硬直した。

「…?ユニちゃん?」

全ての動きを停止させたユニを不信に思い男がユニの顔を覗き込む。

俯いたユニの表情を見た男はユニと同様固まった。

何故ならユニの顔は信じられないほど輝いていたのだから。

固まった男に動じる事なくユニはすぐに顔を上げた。
「じゃ、白蘭サンお疲れ様っしたー」
「ちょっとユニちゃん!?何で窓から出ようとしてるの!?」
「悟ってくださいびゃっくん!」
「誰がびゃっくん!?」
窓の枠に足をかけるユニは今にも飛び降りそうだ。
どちらかと言うと羽ばたきそう、の方が正しいのかもしれない。
「ちょっとーユニちゃーん!?何早まってるの!?」
必死に白蘭と呼ばれた男がユニのマントを掴んでいる。
ユニは白蘭を悲しそうな瞳で見つめた。

「離せよ幼女趣味変態性癖性格破綻者が」
「ちょっとーーー言葉と言語が噛み合ってないよーーー!?」
「離せって言ってるでしょう!?変態が移りますから触らないでください汚れる!」
「離せって言われて離す人いないって!てか僕扱い酷くない!?」
「汚物!」
汚物!?
「声がでかい!」
「ちょっユニちゃ…ゲハァッ」
ユニの蹴りは見事に白蘭の顎に決まった。
「な…何でこんな事…」
「決まってるじゃないですか!運命だからです!」
「運命!?僕運命で蹴られたの!?」
「だって運命を感じたんです!綱吉様は私のディスティニーなんですもの!!」
ユニの手にはボンゴレのボス、綱吉の写真。

ここで初めて白蘭は己のミスに気付いた。

「ちょっまさかユニちゃんツナヨシ君に一目惚れしたの!?」
「何か?」
「マジ!?その『あったりまえじゃん何言ってんの』みたいな目で見るのやめて!」
「察してください、私のピュアな乙女心を!」
「うん、人の顎に蹴りを入れるのがピュアハートなのかな?
「ごめんなさい…グダグダうっせーんだよ若作りが滅べ
「丸聞こえだから!もっとボリューム落として!」
「知りません!そんなにねちっこいから今だ独り身なんですよ!」

グサッ

▶ユニ の かいしん の いちげき !
こうか は ばつぐん だ !
びゃくらん に さんぜんごひゃくにじゅうきゅう の ダメージ !
びゃくらん は たおれた !


「…ユニさん、何故白蘭様はあんな事になっているのでしょうか」
「バカだからですっ☆」

…ユニさん、すごくいい笑顔ですね。by正一

「それよりユニさん…何故逃げようとしているのでしょうか?」
窓の枠に足を乗せ飛び立つ体制のユニ(ずっとこのままだった)に正一が問う。
イイ笑顔なユニが表情を一変、真剣な顔つきになる。
何事かと正一も気を引き締める。

「…私、恋に生きる事にしたんです」

正一がずっこけた。
それはもうどこぞのギャグ漫画のようにド派手に盛大に。
「………」
「ユニさん!その不審者を見る目はやめてください!」
ユニは一回分かりました、と頷いた。
だが表情はやはり不審者を見る通行人のそれだ。

「…ユニさん、つかぬ事をお伺いしますが、お相手は?」
正一が聞くとユニは幸せ心頭の様子で頬を朱色に染めた。
それだけ見れば可愛らしい。
だがしつこいようだがユニが正一に向ける目線は不審者を見るものだ。

「名前とお顔しか知らないけれど、沢田綱吉様って仰るんですって!」
そこで正一がピキリと石の如く固まる。
だがその様子に気付いているのかいないのかユニは話を続行する。
「もー綱吉様ったら女の私より可愛らしいんです!年には似合わない幼げな出で立ちと立ち振る舞い!可愛い表情!優しい笑顔に真っ白い肌!大きな瞳!きっと性格もお優しいのでしょうね!ああ綱吉様!貴方の声は私の全てを突き動かします!貴方の名前はまるで甘い砂糖菓子のよう!いいえ、貴方の存在事態が私の全て!そう、貴方は私と出会う為に、そして私と結ばれる為だけに生まれて来たんです!ああ私の綱吉様!今貴方は何処で何をしていらっしゃるのでしょうか?」

つらつらと乙女全開で語るユニ。
そんなユニに正一は溜め息を一つ落として言いかけた。

「ユニ様、綱吉様に関する最悪の情報を二つ持っているのですがAとBどちらがよろしいでしょうか」
「…何故両方最悪なのですか?まぁいいです、Aで」
「では言います…沢田綱吉はボンゴレ十代目です。」
ユニが硬直した。
「要するに我がミルフィオーレの敵対ファミリーです」

「白蘭てめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「うぉっと!」
正一の宣言でユニが白蘭に攻撃をしかけた。が、間一髪で避ける。
「あっぶないなー、ユニちゃん」
「あっぶないなーじゃありません!聞いてませんよボンゴレだなんて!」
「最初に言ったじゃん!」

……………言っていたような気がする。
だがユニはあえてスルーする事にした。これは賢明な判断だ。

「白蘭さんは綱吉様がボンゴレだって知っていたんでしょう!?なんで同盟を結ばなかったんですが!?人選ミスです!誰ですかその時書類にサインしてたの!」
「ユニちゃんだけど」
「…白蘭さんの馬鹿ぁぁああぁあぁあああ!!!」
「何故僕!?」
「…まぁいいです。あれですよロミオとジュリエット」
「まさかのロミジュリ!?」
「いいえ、寧ろ美女と野獣もアリですね。まず白蘭さんがボンゴレの薔薇を一本折ってしまうんです」
「ボンゴレに薔薇は一本もないけど」
「うるっさい!!!と言う訳で薔薇をもぎ取ってしまいなさい!」
「だから薔薇ないって!」
「じゃあ植えてきてくださいよ!」
「今から!?どんだけ根気がいるのさ!」
「人間頑張れば何でもできます!」
「僕神だもん」
「黙れ複雑かつ単純明解痛い思考回路の持ち主!」
「ヒドっ!」
「あの、ユニさん」
漫才のような会話に終止符を打ったのは蚊帳の外だった正一だった。
「何ですか?」
「ユニさん、貴方の恋が実る事はありません」
ユニが無言で銃器を構える。
「ギャアアアア違います!心理的な事じゃなく根本的に不可能なんです!」
「……?それが最悪Bなんですか?」
「はい」
そう言うと正一はユニと白蘭を見据えて言い放った。

「ボンゴレ十代目は先月のミルフィオーレとの会談で白蘭様に銃撃され絶命しております」

・・・・・・・・・・・・。

「…………白蘭貴様ああああああああああッ!!!」
「ギャアアアアだってぇぇぇぇ!」
「黙らっしゃい!地獄に堕ちなさい!」
釜を構えたユニは正しく白蘭の命を奪いにきた死神だ。
「じゃあなんで写真なんか見せたのですか!?」
「死んだ事伝えようと思ってたんだよ〜!写真見せた方が勉強になると思ったの!」
「そ…そんな…わ、私の…はつ、こい…ふぁーすと、らゔ…」
ユニはついにぽろぽろと泣き出してしまった。

…それから0.5秒後。

「…いい事考えちゃいました」
「立ち直り早っ!!!」
白蘭のツッコミは軽く受け流しユニが立ち上がる。
「過去の綱吉様に会えばいいのです!」
「はあああああああっ!?ちょ、ユニさん!?」
「わぁ、突発的だねユニちゃん」
そんな二人に目もくれずユニは一目散に走り出した。
「おおおおお追いますよ白蘭様!」
「えーヤダよ、めんどくさいもーん」
「また綱吉君に会えますよ!?」

その言葉は絶大な効果を白蘭に与えた。

「レッツゴー過去!!!」
「(扱いやす…)」

ダッシュでユニの後を追う白蘭とそれについて行く正一。
行き先は愛しい綱吉の元。


何やら一波乱ありそうだ。






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