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□つまりはお嬢の暴走
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▼2/22 にゃんにゃんにゃんの日企画



犀川研にて。

「じゃーっん!」

西之園萌絵は手に持ったそれをみんなに見せ付けた。

「何、それ」

怪訝な顔をして洋子が尋ねる。
浜中も同じ表情。
国枝ははなっからこちらを向いていない。

「やだ、洋子。今日が何の日か知らないの?」
「……知らないわよ」
「ええと、今日は確か2月22日だよね」

カレンダーを見て浜中がそう呟くと、萌絵の口元がにんまりと緩んだ。
洋子は嫌な予感がしてきた。

「そう!」

彼女は胸を張った。

「今日は2月22日――俗に言うにゃんにゃんにゃんの日なのよ!!」

「…………」
「…………」

「ということで、はい」

手に持っていたそれを洋子に渡す萌絵。

「私からのプレゼントよ」
「…………」
「洋子には白が似合うと思って」

洋子は呆然と見つめる。
真っ白くふさふさした、可愛らしい猫耳を。

「浜中さんにも、はい!」
「い、いや僕は――」
「浜中さんには茶色です!地味だから!」
「……あ、そー」

無理やり渡された猫耳を触ってみて、気付いた。

「結構高級な生地だね」
「ええ。特注です」

誰かこいつに金の使い方を教えてやってくれ。
洋子は心の中で強く思った。

「国枝先生は――」
「私はいい」
「まぁまぁ、そう言わずに」

そうして紙袋から出したのは、

「ぶっ!」

思わず浜中が吹き出すほど鮮やかな薄紅色の猫耳だった。

「国枝先生にはやっぱりピュアな色しかないですから」

国枝のリアクションが怖くて何も言えない洋子と、笑いを堪えるのに必死で呼吸さえ難しい浜中だった。

「ぜひご自宅でこれをつけて旦那さんを喜ばせてあげてください!」
「…………西之園さん」
「はい」
「命の尊さって分かるかな」
「え?」

萌絵はきょとんとした。
けれどそれは一瞬のこと。

「まぁ、ともかく!」

紙袋にまた手を突っ込んで、今度はデジカメ(おそらく新品。かつ最新型)を取り出し,

「さぁ!みんなで撮影会よ!」
萌絵嬢は告げた。

頭に金のスパンコールの猫耳をつけて。





よかったら拍手をどうぞ...



*次はあとがきです



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