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□BL・GL
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【あなたとトマト】



遥さん、と彼女が私を呼ぶ。

「何か手伝おうか?」

そう言って狭いキッチンにやってきた。
ボーイッシュな彼女の見た目によく合うカジュアルな服装。
そのまま来くればいいのに、いつもわざわざ制服から着替えてくる。
私はマッシュルームを切る手を動かしながら答えた。

「大丈夫、すぐできるから」
「そう?」
「いいからあなたは座って待ってなさい」

「テストで疲れたんでしょ?」と尋ねて、「じゃあ、お言葉に甘えて」なんて笑ったあたり、疲れてるのは本当らしい。
まぁでも、それが学生の仕事だしね。
仕事が仕事の私とは違う。

「できはどう?」
「うーん……、全部そこそこかなぁ」

てことは結構できたんだ。
缶を開けると、ホールトマトの香りが部屋に溢れた。
そして茹でるお湯が沸騰したので、すぐパスタを入れて茹でる。

「またクラスで一桁とれるといいね」
「それはどうだろ」

その時はまたお祝いしてあげなきゃ。

「フォーク用意しとくね」
「ありがと」

パスタが茹で上がったら皿に盛って、トマトとマッシュルームを炒めたソースをかける。

「よし」
「おいしそー」
「わっ」

いきなり肩に顎を乗せられた。
彼女の身長だと結構きつい体勢になるはずなのに。

「いいなぁ、料理上手くて」
「……これくらい誰だってできるよ」
「そんなことない」

ハスキーな声で囁く。
整った顔が近いのも合わさって、少しどきどきする。

「私は遥さんのパスタが一番好きだよ」

それからお腹に手を回されて、ぎゅって抱きつかれた。

「ちょ、ちょっと?」
「あと20秒」

……仕方ないなぁ。
何だかんだで甘くなってしまう私も私だけど。

「――ん、ありがと。もういいよ」
「はいはい。じゃあ食べようか」
「うん」

遥さん不足も解消されたし。

真顔でそんなことを言った彼女に「馬鹿」とからかい口調でたしなめて、テーブルへ運ぶ。
テスト最終日に、必ず彼女が食べたいと注文する、でも決して豪華じゃない一品を。

「いただきます」
「召し上がれ」

私たちは笑ってフォークを手にとった。





――――――――――――――

「イケメンJK×OL」を私が目指したらこうなりました。
普段はめっちゃクールなのに、彼女にだけは甘える攻めってよくないですか?(笑)



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