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□束縛より独占欲の方が強い貴方の跡
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濡れた髪をタオルで拭きながら寝室のドアを開ける。

「なぁ、なんか飲むもんって」

俺は最後まで言わず口を噤んで、小さく息を吐いた。
そこにあったのは、さっきまで2人でいたベッドですやすやと眠る臨也の寝顔だった。

「……やっぱ寝やがったか」

先にシャワー浴びさせて正解だったな。
シーツに散らばる湿った髪を撫でてそう思った。

今夜は少しやりすぎたかもしれない。
久しぶりだったっていうのもあるけど。

でも、こいつは、

「ん?」

ふとやつの手首に目がいった。
とても男とは思えないほど細いそこに、赤い痣がくっきりとついている。

思い出して、あー、と声が漏れた。

こいつがあんまりにも声を我慢しようと口を塞ぐもんだから、俺が抑えつけたんだ。

「にしても、結構はっきり跡ついたんだな……」

痛かったかな。
痛かったよな。

――でも、この薄い唇からはそんな言葉一度も聞こえなかった。

こいつはそういうことは何も言わない。
どこがいいかは反応で分かるけど、痛みに関しては本当に何も言われたことがない。

だから、どれくらいの力で触れていいのか分からなくなる。

白い首筋に唇を押し付けて歯を立てる。
かすかな刺激に臨也の眉がひそめられた。
どうやら、意識のないときの方が痛覚に素直らしい。

ぽつりとできた赤い印。

これを見る度に、力を抜くことを思い出そう。
そうすればこんな痣は二度とできない。

俺は手首に触れて、それからできたばかりのキスマークに指でなぞった。

俺は、こっちの赤の方が好きだ。
こいつの身体に残すなら、こっちがいい。
むしろこれしか嫌だ。

強く思いながら、喉を潤す何かを探すために寝室を出た。





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