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□甘い菓子
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【SonG】
最後の鍵盤を弾いた。
君は瞼を持ち上げて、いつも通りのスローモーションで体を起こす。
ねぇ、と声をかけてみた。
たまには君が私に聴かせてよ。
「やだ」
む、即答されてしまった。
こういうときだけ反応早いんだから、なんかずるい。
まぁ、そう言わずに、ね?
「僕、ピアノ弾けないし。他の楽器もできないし」
ふっふっふ。
「何?気持ち悪いんだけど」
年上のお姉さんにそういうこと言わないの、傷つくでしょ。
すると君に「はいはい」と適当にあしらわれてしまった。
絶対年上と思ってないでしょ。
昔はあんなに素直で可愛かったのになぁ。
どうしてこうなっちゃったんだろう。
首を傾げる。
それから、聴かせるのは楽器だけじゃないんだよ、と言いながらまた鍵盤を弾き出した。
君が好きな歌を。
「……はぁ」
さぁ、どうぞ。
笑顔を向けると、
「はいはい。歌えばいいんでしょ、歌えば」
立ち上がって、私の隣まで来てくれた。
すう、と君が息を吸う。
懐かしいラブソングが始まった。
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初めての弾き手目線です(´ω`)
よかったら拍手をどうぞ...★