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□甘い菓子
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▽12/16
【うたうたいlovers】



彼女とカラオケに行くなんて,もう何年ぶりだろう。

「錦戸さん,お先にどうぞ」
「サンキュー」

無愛想なりに年上には敬意を向けるのが彼女らしい。
俺は遠慮なく1曲目を入れた。
しばらくして,聴き慣れたイントロが流れ始めた。

「……好きですね」
「悪いか」
「いーえ,別に」

ただ,と機械のディスプレイを覗いていた顔を上げて続ける。

「本人の曲を本人の目の前で歌うって言うのも,なかなか勇気のある行動だと思いまして」

俺は笑って,「そうでもないだろ」と肩をすくめた。
今から歌う曲の持ち主はどうでもよさそうにまた下を向いた。
――ムカつくなぁ。

まぁ,俺も大人だしな。
生意気な年下の態度なんか気にせず歌うよ,うん。

「…………」

けどその穴があくほどの視線は気になるけどな。

「……どした?」

歌い終わってからマイクを置くと,彼女はまだ2曲目を入れてなかった。

「錦戸さん,上手いなぁと思って」
「は?」
「私より全然この曲歌いこなしてます」
「いや……そんなことないと思うけど……」
「悔しいから私も歌います」

好きにしてくれ。
思いながら烏龍茶をすする。

出会ってから4年経つが,未だに彼女のペースは掴めない。
ていうか,一生無理だろうな。

「………………」

さっきの彼女がそうしていたように,俺も彼女を見つめる。

――安心しろ。

お前の方が,ずっと上手いから。

俺は狭い部屋に埋め尽くされた彼女の声に酔いながら,今度は彼女のじゃない曲を入れた。

「どうでした?」
「レコーディングじゃないんだから,そんな堅くならなくても」
「で,どうでした?」

話聞けよ。

「……よかったよ」
「そうですか」

にこりともしないままマイクを置いて,機械をいじり始めた。

――ほんと,可愛げのないガキだ。





―――――――――――――

連載しようと思ってて諦めたので,設定なんかが意味不明ですみません。



よかったら拍手をどうぞ...



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