不思議な出会い
□夢の中
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中に入ると想像以上に荒れ果てていた。
あちこちに物が散乱していて、足の踏み場も無いような状態だった。
「うゎ・・・、荒れているとは想像してたけどここまで荒れてるとは・・・。」
あまり進む気にはなれなかったけど、ここまで来たなら見て行きたいという気持ちもあり進んでみることにした。
足場も悪く、物が散乱していたため歩けるような場所のほうが少なかった。
倉庫の中は思った以上に広く、2階もあるようだった。
でも、階段が壊れていて2階には上がれるような状態ではなかった。
「階段壊れてるなら直しておいてほしかったな〜。」
誰もいないであろう夢の中で一人愚痴を言いながら、奥へと進んでいった。
10分くらい倉庫の中を探索した気がするけど何も無かった。
「何も無いじゃん・・・。じゃあ、私の手を引っ張ってきた“何か”は私をここにつれてきたんだろう・・・。」
何も無かったのでこの倉庫を出ようとして出口に向かって歩いていると何かに足を引っ掛けて転んでしまった。
「いった〜・ ・ ・、ん?」
入ってくるときは気づかなかったけど、じゅうたんの下に出っ張りがあることに気づいた。
じゅうたんをめくってみると、取っ手のようなものがあった。
取っ手を引っ張ると、地下へ続く階段が現れた。
階段の先は真っ暗で、何も見えなかった。
先には何があるのか知りたかったけど、恐怖もあり進むことができなかった。
「・ ・ ・、この先懐中電灯とかないと無理だよね・ ・ ・。夢だし、急に明るくなったりしないかな。」
なんて言ってふざけてみただけなのに、急に階段の先が明るくなった。
「うわ〜・ ・ ・。」
夢だから何でもありなのかな。
まぁいっか。とりあえず進もう。
私は明るくなった地下へと足を進めていった。
ようやく、一番下へとたどり着いた。
上の階よりは片付いていて、歩ける場所があった。
先へと進んでいくと、一番奥に一枚の絵があった。
茶色い木枠に入れられた絵。
その絵は小さな子どもが描いたような絵。
三人の人らしきモノが描かれている。
その絵に近づこうと足を進めると、頭の中に声が響いてきた。
「・・・た・・て・・・・・・」
「・・・・・け・・る・・・・」
「・・・・す・・・・・・・を」
なにを言っているかちゃんとしたことは聞き取れなかったけど、たぶん『たすけて』と言ってるんだと思った。
周りを見回しても誰もいるわけも無く聞こえてくる声はだんだん大きくなっていった。
私は恐怖で耳をふさいでその場にしゃがみこんだ。
頭に響いてくる声なんだから耳をふさいでも聞こえてきた。
「なんなの・ ・ ・!」
その言葉と同時に夢から覚めた。
「・・・、戻って来た?」
周りを見渡す。
空は青い。遠くからは生徒たちの声がする。
ホッと息を吐くと肩の力が抜けた。
夢とわかっていたけど、けっこうリアルな夢だった。
なんだったんだろう・ ・ ・。
夢では学校の風景だったんだから現実でも同じ場所があったり・ ・ ・?
私は立ち上がり、スマホで時間を見た。
「・ ・ ・授業まではまだ時間はあるかな。」
私は夢で見たところへと向かうことにした。