花巻くん攻略本がほしい!
□出会い
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振られてから(一方的)1ヶ月が経ち、球技会のシーズンになって来た。
あれから花巻君には会うけれど、話したことはいまだになかった。一度だけ、優香に
「あんたって、こんなに奥手な奴だっけ?」
と言われた。まあ、確かに乙女ゲーの世界ではガンガンアピールするタイプだけど……
(2次元と3次元には壁がある!!)
昼休み、優香は用事がある(クソカワの所)と言って、いなかった。
そんな時、花巻君が入って来て、「優香〜」
と呼んでいた。
私は勇気を振り絞って、
「花巻くっ!痛っ!」
舌噛んだ……….これ、口内炎になるやつ……
しかも気付いてない……もうやけくそ!
彼の所まで行き、私よりも高い肩を叩き、
「優香ならクソカッ、及川君の所ですよ。」
「まじかー(クソカワっていいかけたよな)教科書借りようと思ったのになー。ま、いいか、ありがとう教えてくれて。えーと、確かいつも優香といる子ダヨネ。俺、知ってると思うけど花巻貴大。君は?」
チャチャチャチャンス!
One chance One shot !!
(一個のチャンス!逃さず一発で仕留める!)
「私は、…………あ、えと、中村芹です!あの、教科書なら私が貸しますよー?」
フレンドリーな感じにするつもりが!!めっちゃ硬い!
「まじでー?貸してくれんのー?ありがとうー、えっと、中村さん」
(えっとが入った……しかも春野さん……芹って呼んでくれ……)
「はいっ、これ!どうぞ!」
「おお、サンキュー、敬語っぽくなくていいよー俺ら学年一緒じゃん。いつもめっちゃ大きく口開けてゲラゲラ笑ってんじゃん。それでいいよ」
見られてた………
思わず白目になっていたらしい。
「ぶひゃひゃひゃひゃ!白目!お前、面白い!中村さんじゃなくて、芹チャンでいい?」
好きな人に白目見られるとか、どんだけアホなのだろうか
でも、芹チャンって呼んでくれるのだから、プラマイ0?いやいや白目のマイナス要素多すぎだろ。マイナス6くらいだよ。だって、プラスに10000で、マイナスが9996だからね。あれ?これじゃあマイナス4?あれ?
「何考え込んでんの。芹チャンさては馬鹿でしょ?」
「いやいや、何言ってんですか、赤点ばっかですよ。(いつも学年10位には入ってますよ)」
「事実と言いたいことが逆だよ。」
「あはは、本音と建前ってやつですよ」
「(いや、違う。)」
花巻君と話すことができた記念日。
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