花巻くん攻略本がほしい!

□雨と飴
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「おおおおおおおおおおおお、お、お邪魔します」



「ぶひゃひゃ!おまっ!緊張しすぎだろー」



「う、うっさい」



「俺んち今、母ちゃん買い出し行ってっからいねえよ。ま、すぐ帰ってくるけどな」



ああ私。「今うちに誰もいねーよ」言って欲しかったセリフ言ってもらえた。



こんなに幸せなの久々。泣きそうっ感涙のなみだ!



「はよはいれ」



「あの〜服は?」



彼シャツ?彼シャツ?彼シャツだよね?



「ああ、葵が来た時用のがあんぞ。ま、あいつ準備いいからそういうの全部持って来ちまうけど」



グサッ!今リア充アピールいらない…


「きいてるー?」


「きいてるきいてる。わかった。ありがと、入ってくる」



「おー」



お風呂は思ったより、というかめっちゃ綺麗だった。



私はめちゃくちゃ早い方なので、ささっと頭も洗って五分で出た。



「はやっ!てかおまえ髪拭いた?」



「え?拭いてないけど」



「はぁー女子力ねぇな」



わるぅごさんした



「そうですよないですよーだ」



「こっち来い。花巻様が拭いて差し上げよう」




すっごくわかりにくく説明すると、ソファに花巻君が腰かけていて、その花巻君の足の間に座り、髪を拭いてもらっている。



時々耳に手が当たってくすぐったい。




クソカワの色気大作戦(?)でやったことを思い出した。


えーと、確か



『ふぇっ』か『ん……やっ』だったっけ。



ふぇっはドルハー(ハードル)高いな



次に耳に手がかすった時、勇気を出して言った。




「ん………やっ、ちょ、花巻君、耳くすぐったい」



思ったより変な声でた!やばい顔真っ赤かも。



恥ずっクソカワめ。恨んでやる。



「わ、わりっ」



後ろを振り返ろうとしたら、手で目を隠されて見んなと言われた。




ててて照れてる?!成功したかも!クソカワ様ありがとう



しばらく拭いたら手が止まって




「はいっ、おーわり。」



「ありがとう、手際いいね」




「どーも、じゃ、気をつけて帰ろよ」



「うん。今日はホントにありがと!楽しかった!でもね、実は私、雨に濡れるの好きなんだ!あはは」



「は?雨好きなの?!」



「ばいばいー」



ガチャッ



ドアを閉めた。緊張したぁ。楽しかった。






雨はまだ止まない


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甘い甘い『雨』
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