花巻くん攻略本がほしい!

□夏は短し恋せよ少年少女
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ふかふか………とはお世辞にも言えないようなベットの上にいることに気がついた。


「あ、芹チャン!よかった〜大丈夫?」



花巻君……ずっといてくれたのだろうか。



『大丈夫』と伝えようとした時、今まで呼吸をしていなかったことに気がついた。



「ゴホッ!ゴホッゴホッゴホッ!だ、だいじょっごほ」



「ちょ、おい!だいじょぶか?」



息がうまく吸えない……………



すぐに係員が来てくれて、



私の体を起こしながら、



「落ち着いてください、ゆっくり息を吐いて、深く深く。次にゆっくりゆっくりと吸って、はい、吐いて」



と言った。それ通りにするとだいぶ楽になった。




「ふぅ。ありがとうございます。」



「もうすこし安静にしていてくださいね。」



「はーい」



係員は救護室を一旦出て行った。



「あの、はな「心配した。しぬのかと思った。スライダーから滑って落ちるとか、馬鹿だろ」



「………すいません…」



素直に謝ったほうがいいや。



でも心配してくれてたんだ。




嬉しい。



「ずっとここにいたの?」



「おう。」



「でも葵さんは…」



「言わせんなよ。お前が心配だからここにいる。わかった?」



カァァと顔が熱くなるのがわかる。



「う、うん。……」



恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい。……嬉しい。



「他の奴らには遊んでもらってる。お前全員ここにいたら心配かけた罪悪感感じるでしょ?」




優しい。本当に人のことまで考えてる。なんだかふわふわしてて今なら言える気がする。



「花巻君……わた「目さめたって本当?芹チャン!よかったぁ。及川さん心配したんだからね」





「及川っ!うっせーよ。」



「痛っ!岩ちゃん痛い!」



「ふんっ。中村、どうだ体調は」



「…………………………………もう!お前らの馬鹿!体調は絶好調だよコノヤロー!」


「花巻〜顔真っ赤だぞ〜ナニがあったの?」



「ナニとか言うな松川!なんもねえよ!」



「あははーどうだか。」



「……………………………(告られるかと思ったぁ)」




すると今度は優香が飛び出してきて、


「芹!心配したんだからね!足滑らせてスライダーから滑り落ちて!頭打って気絶?馬鹿なの!」



「ごめんなさい…」



あ、なんかデジャブる。花巻君と。




「「ぶふっ!あはは」」



花巻君と私は2人で吹き出した。




後の人は不思議そうにその様子を見ていた。



悲しいかな。そのあとは何もできずに私は帰ることになるのだった。
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