花巻くん攻略本がほしい!
□後夜祭
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そんなこんなで告白タイムがおわり、次はダンス。
男女で組んでる所はカップルがほぼだ。
うれしい。私もカップルみたいに見えてるだろうか。
「うへへ」
「何笑ってんの」
ニヤついてたのを指摘されて赤くなってしまう。
「な!なんでもない……」
「笑っていいよ?楽しもうぜ!」
私は花巻くんのニシシという笑いに弱い。
確実に。
だってこんなにも心から笑顔が溢れるよ
「うん!」
そこまでは良かったんだ。
私は花巻くんのこと考えるあまり、大事な、とても大切なことを忘れてしまってたんだ。
……………私は、
ダンスなど踊れないんだ。
「ああああああああ、あのさ、花巻君……」
「ん?ちょ、おま、その汗どした?!」
「わ、私…………ダンスなんて踊ったことない…」
「ぷっ そんなことかよ!俺も踊ったことねーわ!いいんだって、ただ楽しもうよ?」
そうか……ただ楽しむか。
うん。そうだね、ただ楽しもう。
「ありがと!そうだね、この学校のメンバーで文化祭できる機会なんてないし、てか、もうイベントもこれで終わりだね、ちょっとだけ寂しいや」
「だなまあ、あと少なくとも卒業式はあるぞ?」
「そんな現実的なこと言わないでよ!」
「ははっ。」
とりあえず今を楽しもう
ダンスが始まった。
「いてっ」
「わっ、ごめん……!」
「いつっ」
「すまん」
あまりにつたなくて下手くそな私たちのダンスに
私たちは思わず笑ってしまった。
楽しかった。もう少しで色々と環境が変わってしまう。
受験の勉強に必死になってしまう。
それまで、あと少しだけ…………
そばにいさせて。
でもそんな風に考えてる人は他にもいた。
ダンスが終わった。
「終わっちゃったね。」
「そだな。あーあ楽しかった!受験したくねーな、ずっとこのまんまがいい!」
「そうだね。ほんと。楽しかった。でもまた頑張ろうね」
「おう!」
ちょっといつもよりもいい雰囲気かなと思った。
でも告白とかしたいと思わなかった。ただこのふわふわした雰囲気に呑まれていたかったんだ。
そこへある人が私たちのところに来た。
「芹ちゃん。ごめんちょっと来て」
「へ?〇〇?」
「いいから」
「あ、えと…」
「いってきていいよ」
「あ、うん。どしたの?」
「屋上きて。」
なんだかいつもと雰囲気がちがうな。どうしたんだろう。
この空気に毒されたのかな。