花巻くん攻略本がほしい!

□電車
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私は優香と電車で行っている。



いつも2人でオタク雰囲気を漂わせて学校に来ている。



でも今日、私は一言も話してません。なぜでしょう。



下痢だから?いいえ、違います。それは2日前の話です。


なんと、花巻君が隣にいるのです。



ちなみに、クソカワも。



「はぁ、なんでクソカワもいんの?」


「はぁ?芹ちゃんこそ!なんでいるんですかぁ?及川さんが汚れちゃうでしょー!」


バキッ


「痛っ!岩ちゃんじゃないんだからやめてよね。ゴリラ!」



ゴキッ! バキッ



「脛は駄目!卑怯だよ!」



「電車の中では静かにね。クソカワくん。」



「葵ちゃんも充分五月蝿いよ!」




「「(お前ら仲良いな〜)」」



「芹!及川君いじめないで!」


「このクソカワと同じ空気を吸ってる私が可哀想だとは思わないのか?」


「うん。むしろあんたと同じ空気を吸ってるあたしと、マッキーと及川君が可哀想。」



「はっ」



クソカワ鼻で笑いやがったよ?へし折ってやろうかその高い鼻。



優香とか爆笑状態だし。



「もー!!!!」


優香をくすぐってやろうと思って、手を伸ばすと、花巻君に両手を捕まえられた。


「俺の可愛い幼馴染ちゃんに乱暴しないでくださーい」



『俺の』?『可愛い』?



まさかマッキーの彼女って優香?うそうそ。嘘だよね?



「なに、百面相してんだよー」


「はははは、」



「は?」



「花巻君の彼女ってまさか優香?」



間を割って花巻君に腕を絡ませて優香が言う。



「そうだよ〜黙っててごめんね♡謝んなきゃね?ダーリン?」


「だなぁー、ハニー」



え、ちょっと待って、さっきまで花巻君に握られてる両手首が異様に暑くてそこから熱が伝染していたのに、



いきなり、ひどく冷たくなったような気がした。



優香は裏切ってた?ずっと仲良くしてたのに?




じゃあ、なんでクソカワ君を?あれっ?



やば、ちょっと泣きそう。



私は情けなくて、苛立って、席を立って、



「冗談だよ、冗談。」


と笑う2人の声も耳に入らず、停車していた駅で降りた。



まだ、学校にの最寄の駅ではない。




「え?ちょっと?芹?」



聞こえたけれど、無視して走った。




走ってないと、涙がこぼれそうだった。



やっと話せて、私が主人公の乙女ゲーじゃないかもと思いながらも頑張ったのに。



「ちょっと!芹ちゃん!どこ行くのさ!」




ほら、追いかけてくるのは花巻君じゃない。
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