花巻くん攻略本がほしい!
□電車
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「芹ちゃん。こんなとこまで来て。学校に戻ろう。」
「いや、やだ。なんであんたなの?花巻君に来てほしかった。」
「そうですかー残念ですねー及川さんで!」
「うん。残念。ほんっとに。ままならない。私、2次元に生まれてくればよかった。」
「そんなことはないよ。先が決まった未来なんておもしろくもなんともないじゃん。それに、ままならないからおもしろいんじゃん。いっぱい悩んで、ぶつかって。それで良いんじゃない?」
「そんなの綺麗事にすぎないよ」
「うん、そうだね。でめまだ始まったばっかりでしょ?芹ちゃんの恋は!俺、応援してるからさ」
「クソカワの応援なんていらないしー」
「はぁ。本当に可愛くないやつ。ほら、学校戻ろう?」
しゃがみこむ私に伸ばされた手を私は掴んで思いっきり引っ張った。
「わあ!!なにすんのさ」
「学校はサボって、カラオケ行かない?」
「仕方ないなぁ、優しい及川さんが慰めてあ、げ、る!」
「きもい。まあいいや、ありがとう。奢ってくれて。」
「え?」
少しだけいや、だいぶ気が楽になった。
大丈夫。そうだ。乙女ゲーだって最初は次の章に進むために、自分磨きやらなんやらをやらなければ進めない。それと一緒だ。困難もあるけれど私はまだ頑張るべきだ。