花巻くん攻略本がほしい!
□好きな人の彼女さん。
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しまったと思った時はもう時すでに遅し。
クラスがまたザワッとする。
「うわー花巻が女子泣かした!」
「やば〜!何してんのー」
もう、恥ずかしい。やだ、穴ないかな。
花巻君珍しくおどおどしてるし。
「ちょちょちょっと?!芹チャン?どど、どしたの?ホントに大丈夫?!」
私はカーディガンの袖で自分の目をこすり、
「大丈夫大丈夫。ほんとに。」
「泣いてんじゃん、えっと、どっか外出る?」
と、花巻君が言った時だった。
「みなさん。騒ぎすぎです。本が読めないでしょう。それと、中村さん。女が人前で泣くなんてはしたないことしないでください。見苦しいわ。」
クラス中がシンっとした。
「ちょ、いまの言い方はちょっときついんじゃない?葵」
「貴大も、そんな子から離れて。」
「葵?何か理由があるんなら、言わなきゃ。」
同じ女子だからか、彼女が何を考えているのかわかってしまう。
多分、彼女は私に嫉妬した。驚いた。機械みたいな生徒会長にも感情があり、ちゃんと花巻君が好きなのだ。
「いいから、離れて。汚れちゃう。」
今度はクラスがざわざわとし始めた。
「生徒会長ちょっとヤバくない?確かに泣いてる子も意味不明だけど、なんか理由あんじゃん」
「ね、ちょっといまのはないわ。サイテー」
「生徒会長、私ちょっと軽蔑したわ。」
「な。」
野次馬というのは第三者という干渉しない立場だからなんでも言葉の刃を突き刺してくる。
あんたらこそサイテーだ。そんなこと言えない臆病な私は、唇を噛んだ。
ついに、花巻君がちょっと怒った。●●●●
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