花巻くん攻略本がほしい!
□雨と飴
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今日って雨降るの?!
朝曇ってたけど、そこまでじゃなかったから傘持ってない。
結構ザーザーだ。
でも実は変わってるって言われるからだれにも言わないけど、
雨に濡れるのは好きなんだ。
だから意を決して、ゆっくりと歩き出した。
その時、1番聞きたくなくて聞きたい声が聞こえた。
「芹チャンー」
聞こえない。聞こえてなんかない。
どうして駆け寄ってくるの。肩を掴まれて花巻君の方を向かされた。
「あのさ、人が優しくしてやってんのにそれを無駄にすんの?それは人として最悪じゃない?俺も濡れちゃうんだけど」
どうして傷つけるの。
せっかく諦めようとしてんのにね。
「いや、離して!私、人として最低なんでしょ。謝るから。もう話しかけないで!花巻君となんか話したくない!」
そう言って、手首を振りほどいてやろうと思ったら、
向こうから自然に離し、今度は私の頬を包み込むようにムギュッと抓った。
なかなかに痛くて、涙が滲んだ。
「ごめんごめん。冗談だよ。」
「いひゃい!いひゃいよ」
「素直じゃねぇな。ホントは痛くねえだろ。」
「いひゃいよ」
「傷つけてわりぃな。代わりにと言っちゃあれだが、風邪ひくし、俺んちこない?風呂貸すよ」
ん?
「…………」
「どした?」
え、これってツッコミ待ち?いやいや、な訳ないよね?え?
だとしたら私の聞き間違えだな。
「…………ごめ、もっかい言って?」
「だから、風呂貸すよって」
聞き間違えじゃなかったぁぁぁぁ!
これってアウトだよね。この人彼女いるよね?いや、逆に友達だからこそてきな?いや、意味わかんないし
「なに?そんなに俺ん家くんのや?」
「いやいや、滅相もございません」
「はい、じゃ、決定!傘めんどいな。走るか」
花巻君はそう言うと、もう一度私の手首を掴んで走り出した。
「はやいはやい!」
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『雨』が降っている。