花巻くん攻略本がほしい!

□え?何故に
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多分今私の周りからは真っ黒のなにかおぞましい、あるいは魑魅魍魎な何かが出ているに違いない。


朝教室に着いた私はすでに周りから引きつった顔で見られている。


そして今日は一緒に来なかった優香がきた。



「え、ちょ、どしたのあんた。」



「ははは。死んだ」


「え。」



「何があったのか聞けよ!」



「何があったの?」



「そのまんまじゃん!!まあいいけど!よくぞ聞いてくれた。なんと花巻くんに彼女ができたんだとさ」



「は?!マッキーに!?いやいやありえないって」



「それがホントだから魑魅魍魎を引き連れてるの」


「は?ちみもうりょう!?なんだそれ」



「この世のものとは思えない恐ろしい何か。」



「ああ。」



「年下ですって!わたしはもうどうすればいいのかわからないです。」



「わたしの豊富な胸を貸してやる!」



「…………………………ちっせ」



「ふざけんな!……まあ、マッキーにも遊びたいお年頃なんだよ」



「なにそれー!私の気持ちはー!」


「あんたは告白してないでしょ馬鹿。」


うう。ごもっともすぎてなにも言えないわ。



「そろそろ文化祭だしー早くしないと本格的にとられるよー?あんたのものじゃないけど」



「これ以上傷つけないで!!」



すると教室のドアから



「芹せんぱーい!」



と呼ばれた。



誰だ?と思って振り返ると、太田くんだった。



席は立たずに



「なにー?太田くんー!」



と大きめの声で言った。



すると



「遊びに来ました!入っていいですか!?」



まあ断る理由はない。



「いいよ!おいで!」



いまのちょっと犬呼ぶみたいだったかも。



すると優香がポカーンと口を開けて、それから私にひそひそと話す。



「ちょちょ、まって。誰あの可愛い系イケメン!なにあれ!あんた知り合い!?後輩!?」



「うん。犬。」



「犬!?ど、どういう関係!?」



「いやー告白されてね、で、断ったら犬になりたいって言われてー。断れなくてね。」



「あんた怖い女ね」



「えへ」



「せんぱい!なんの話してるんですか?」



「なんでもないよー?なんか用事があった?」



「会いたいと思うのに理由は入りません!」



「うわーあんたにベタ惚れ。」



「いいんじゃない?乙女ゲーの主人公もだいたいハーレムじゃん」


「いやそこまでは言ってないし。そんな可愛くはないよあんた。」



「うっざ」



すると太田くんが机をぱしんと叩いた。
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