花巻くん攻略本がほしい!

□後夜祭
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夢主side



普段クールな花巻くんが私のことをかわいいと言った。そして



真っ赤になった。




それだけで嬉しすぎて嘘でもお世辞でも嬉しくて。




今すぐに気持ちも伝えたくなった。




「えと、あ、ありがとう?私なんて全然可愛くないけど…」



これじゃあこのあと『そんなことないよ!かわいいよ!』って言って欲しい系の女子みたいじゃん!




「いや、うん。普通に。か、かわいいと思うよ」




その瞬間。



「「「てめえらイチャつくなら外でやれ!リア充が!」」」



まっつんとクソカワと優香に言われた。



「い、いちゃついてないよ!!」



そのあとうるさいと委員長に怒られた。



接客が無事に終わり、帰り際。



「…………………………行ってこい!誘ってこい後夜祭」



「う、うん!」



優香に背中を押され前に踏み出した。



「あ!あのさ!花巻くん!私とやっぱ後夜祭回ってください!………だめかな?」



花巻くんは大きな声に驚いていた。



そのあとちょっと考えて



「いいよ」



とニシシと笑った。



あーかっこいい。なんか愛より萌が勝つ気がしてきた。



萌えるわぁ。



もう『彼女はいいの?』は聞かない。


浮気上等。あ、いや別に花巻くんが私を好きだという訳ではないんだけど。



うーん。片思い上等の方がいいか。




とにかく、なんでもいいんだよ。好きな人の隣にいられれば。




あ、ちょっとかっこよかった。




でも本当になんにも話さなくてもただ隣にいるだけで幸せになれるような気がする。



2次元では画面を挟んで隣だったからなんだか違う。



ホワホワとしていたら



「わっ!芹せーんぱーい!驚いた?その服ホントに似合ってますね!それといちご柄のパンツもとっても似合っててかわいかったです!」



え、なんで知ってるの……



犬ちゃん怖っ!



「なんで知ってんの。まあいいや。あのさ。犬ちゃんって呼んでいい?」



「いいですよ!むしろそれがいい!!!あ、そうだ!先輩この後、後夜祭一緒に回りませんか?」




いいよと言いかけてやめた。申し訳ないんだけど、



「あ、えと、ごめんね!私、その」




「好きな人誘えたんですね?僕にとっては残念ですが、良かったですね!先輩が好きだけど、先輩の幸せを1番に祈ってますからね!先輩がんばれ」



こんな子がいるのか。



好きな人の幸せを祈るっていうのは難しいことだからな。



私が1番知ってるような気がするから。
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